Article

リュードベリ原子を使った光子エンタングルメントフィルター

Nature Photonics 17, 6 doi: 10.1038/s41566-023-01194-0

光子は量子情報の理想的なメッセンジャーなので、光子エンタングルメントを決定論的に操作できるデバイスは、極めて重要である。しかし、光子には互いに相互作用しない性質があるため、光子量子演算の多くは、確率的な線形光学的手法を使って実証されているだけである。そのため、リソースオーバーヘッドが大きく、スケーラビリティに乏しかった。今回我々は、望みの光子エンタングル状態を伝送し、望まないエンタングル状態をブロックする新しいエンタングルメントフィルターを報告する。今回の実験は、これまでの確率的手法とは対照的に、リュードベリ原子によって可能になった、制御可能な強い光子–光子相互作用を利用しているので、望まない状態のフィルタリングは全ての実験試行で成功した。任意の低さの初期忠実度を持つ入力状態から、1に近い忠実度の光子エンタングルメントを抽出できた。このプロトコルは本質的にロバストであり、リュードベリブロッケードと、相互作用によって生じる散逸の両方の領域でうまく機能した。こうしたエンタングルメントフィルターは、リュードベリ原子の複数の集団を使ったスケーラブルな光子量子情報処理の実現への新たな道を開く。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度