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単一の2準位原子による2光子の同時散乱について

Nature Photonics 17, 11 doi: 10.1038/s41566-023-01260-7

単一の2準位発光体と光の相互作用は、量子光学における最も基本的な過程であり、多くの量子応用のカギとなっている。顕著な特徴として、発光体によって散乱された光において2つの光子は同時に検出されない。これは、単一の2準位量子発光体は単一光子しか吸収や放出ができないという表現で一般的に解釈されている。しかし、理論的には、光子の反相関は、コヒーレントとインコヒーレントと称される2つの可能な2光子散乱振幅間の量子干渉に起因すると考えられると提案されている。この描像は、原子が同時に2つの光子を散乱するために自由に使える2つの異なる機構を持つことを前提としているという点で、前述のものとは全く対照的である。今回我々は、単一の2準位原子の蛍光のコヒーレント成分のみをスペクトル的に拒否すると、残りの光は原子によって同時に散乱された光子対からなることを示すことによって、この干渉描像を実験的に検証した。今回の結果によって、光と物質の量子力学的相互作用に関する基本的な知見が得られるとともに、高度に非古典的な光場を生成する新たな道が開かれ、例えば輝度の理論的限界に近づくフーリエ限界光子対光源が可能になる。

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