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単一分子感度の結合選択的蛍光イメージング

Nature Photonics 17, 10 doi: 10.1038/s41566-023-01243-8

光学的コントラストや化学的特異性を利用した生体イメージングは、複雑生物学の探究に極めて重要である。中赤外励起に基づく振動分光法は、分子分布に関する豊富な化学的情報を明らかにできる。しかし、バイオイメージングの最大の可能性は、実現可能な感度によって阻まれている。今回我々は、結合選択的蛍光検出赤外励起(bond-selective fluorescence-detected infrared-excited, BonFIRE)分光顕微鏡法について報告する。BonFIREは、中赤外や近赤外における二光子励起を用いて、振動励起を蛍光検出に適した電子状態にアップコンバートするため、振動情報を蛍光にエンコードする。このシステムは、調整可能な狭帯域ピコ秒パルスを用いて、高い感度、生体適合性、ロバスト性を確保し、広範囲のレポーター分子にわたる結合選択的な生物学的インタロゲーションを可能にしている。我々は、フィンガープリントの分光学的窓と細胞に対してサイレント(cell-silent)な分光学的窓の両方において、一般的な蛍光色素について単一分子感度でBonFIREスペクトルイメージングを実証する。次に我々は、固定された細胞、ニューロン、組織と、生きた細胞、ニューロン、組織において、さまざまな細胞内標的についてBonFIREイメージングを実証しており、さらなる振動多重化が期待される。我々は、動的生体分析のために、高周波変調方式を導入し、生きたHeLa細胞のタイムラプスBonFIRE顕微鏡観察を実証した。我々は、BonFIREが、新たなレベルの結合特異的振動情報を提供することによってバイオイメージングのツールボックスを拡張するとともに、生物学的研究のための機能性イメージングやセンシングを促進すると予想する。

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