Article

キラル分子とアキラル分子における非線形らせん二色性

Nature Photonics 17, 1 doi: 10.1038/s41566-022-01100-0

キラル相互作用は、自然界において広く見られ、さまざまな生化学的過程を促している。重ね合わせることができないキラル分子の2つの鏡像(エナンチオマーと呼ばれる)を区別するには、既知の掌性を持つキラルリージェント(chiral reagent)との相互作用が必要である。キラルリージェントとしては、円偏光ビームがよく用いられている。今回我々は、±の軌道角運動量を持つ直線偏光したらせん光ビームを用いて効率的なキラル感度を実証する。この光ビームの掌性は、空間を伝搬する際に左巻きまたは右巻きのコルクスクリューパターンをたどるねじれた波面構造によって規定される。我々は、非線形光学応答を調べることによって、アキラル分子においてもヘリシティーに依存する非線形吸収が起こり、それを制御できることを示している。我々は、光物質相互作用において誘起多極モーメントを考慮することによって、この効果をモデル化した。らせん光を用いた光物質相互作用の設計と制御は、キロプティカル分光法、光駆動分子マシン、光スイッチング、キラル系や磁性材料のin situ超高速プロービングに新しい機会を開く可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度