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高調波生成を用いてトポロジカル相転移を探る

Nature Photonics 16, 9 doi: 10.1038/s41566-022-01050-7

トポロジカル絶縁体の予測と実現は、物質を分類する実験的方法に対する関心を大いに高めた。非自明なトポロジカル状態と自明なトポロジカル状態の間の相転移は、基礎物質科学だけでなく、無散逸エレクトロニクスなどの次世代技術に重要である。従って、さまざまな試料や環境に適した先進的プローブの開発が不可欠である。今回我々は、典型的な三次元トポロジカル絶縁体であるセレン化ビスマスにおいて、非自明なトポロジカル相と自明なトポロジカル相に対する円偏光レーザー場駆動高調波生成の感度が異なることを実証する。相転移は、ビスマス原子をインジウム原子に置換してスピン軌道相互作用強度を減らすことによって化学的に開始される。我々は、駆動レーザーの楕円率と結晶方位の両方に依存する変換効率と楕円二色性として現れる高調波応答が、自明なトポロジカル表面状態と非自明なトポロジカル表面状態で著しく異なることを見いだした。そうした異常な高調波応答の起源は、表面バンドとバルクバンドのペアを用いた半導体光ブロッホ方程式を利用した計算によって裏付けられている。今回の方法は、純粋に光学的な方法として、非線形応答を含めて、物質の電子構造に対する感度をもたらし、さまざまな試料や試料環境に適合する。

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