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非線形光学系における全光シュテルン・ゲルラッハ効果の観測

Nature Photonics 16, 8 doi: 10.1038/s41566-022-01035-6

100周年を迎えたシュテルン・ゲルラッハ実験は、量子力学の礎の1つであることが証明されており、スピン角運動量の量子化された性質を解明し、物質波干渉法から弱測定までさまざまな用途に用いられている。今回我々は、光の周波数が擬スピンとして機能する非線形光学系における類似した全光シュテルン・ゲルラッハ実験を報告する。我々は、非線形結合勾配の存在下において、それぞれが周波数ビンの重ね合わせからなる2つのビームに光が分裂することを観測した。さらに我々は、個別の周波数ビン重ね合わせの単一方向への位相敏感偏向を実現した。今回の研究は、周波数ドメインの全光コヒーレント光偏向を生じさせるものであり、古典情報にも量子情報にも役立つ広い帯域幅、高速スイッチング速度、調整可能性が得られる。さらに、今回の知見は、非線形光学系を用いたスピン輸送現象のエミュレーションへの実験的な概念実証となる。

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