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永久スピンらせんを持つファンデルワールス・ハロゲン化ペロブスカイト強誘電体における電気的にスイッチング可能な室温スピン・バレー結合

Nature Photonics 16, 7 doi: 10.1038/s41566-022-01016-9

スピントロニクスデバイスは、スピン自由度を利用することによって、エネルギー効率と動作速度の観点から電荷に基づくデバイスをしのぐと予想されている。数十年にわたって、電場を用いた室温でのスピン制御が追求されてきた。この点に関して、進歩の遅さの一因となった大きな障害は、効果的な制御と強いスピン緩和の間のジレンマである。例えば、スピン軌道結合の強いRashba/Dresselhaus物質では、内部磁場はスピン歳差を効果的に制御するのに十分な大きさかもしれないが、Dyakonov–Perel散乱の結果としてスピン緩和時間が極端に短くなることが多い。これに対処するために、SU(2)対称性の系において永久スピンらせんが提案されている。今回我々は、層状の性質を持つため本質的に量子井戸に似ている有機無機ハイブリッドハロゲン化ペロブスカイト強誘電体において、永久スピンらせんを発見したことを示す。我々は、内部強誘電場を通して、スピン偏極バンド構造を室温でスイッチングできあることを実証する。我々は、単結晶性バルク結晶において、円偏光ガルバノ効果を通したバレー・スピン結合を明らかにする。このハイブリッドペロブスカイトは、好ましい短いスピンらせん波長(III–V族材料より3桁短い)、室温動作、不揮発性を示すため、制御と緩和のジレンマを解決できる実用的なスピントロニクス材料・デバイスの設計を目指して、対称性によって調整されるスピンダイナミクスを理解するのに理想的なプラットフォームである。

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