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ハロゲン化スズ鉛ペロブスカイトナノ結晶における多励起子生成による光電流量子効率の増大

Nature Photonics 16, 7 doi: 10.1038/s41566-022-01006-x

光起電力技術、光子検出技術、太陽燃料生成技術などのいくつかの技術では、単一の高エネルギー光子から複数の電子正孔対を生成する多励起子生成(MEG)によって、光変換効率を増大させることができる。しかし、低い効率、高い光子エネルギーしきい値、速いオージェ再結合によって、その実用化が妨げられている。今回我々は、弱く閉じ込められた高安定ホルムアミジニウムヨウ化スズ鉛ペロブスカイトナノ結晶(FAPb1–xSnxI3 NC; x ≤ 0.11)において、MEGを増大させ、最高87%の効率とバンドギャップの2倍の光子エネルギーしきい値を達成している。重要なのは、そうしたNC増感光伝導体において、低いしきい値でMEGによって駆動されて内部光電流量子効率が増加して100%を超えることが、紫外光照射下で観測されたことである。このMEG増大機構は、PbがSnによって部分的に置換された後、MEGしきい値より上におけるホットキャリアの冷却速度の低下とホットキャリアの捕捉の減少を介して働くことが見いだされている。今回の研究結果は、MEGの恩恵を受ける可能性があるオプトエレクトロニクスの発展には、狭バンドギャップペロブスカイトNCが潜在的に重要であることを裏付けている。

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