Article

キロワット平均出力のシングルモードレーザーを用いた、中空コアファイバーによるキロメートルスケールの光伝送

Nature Photonics 16, 6 doi: 10.1038/s41566-022-01000-3

回折限界に近いビーム品質を持つ高出力レーザーの伝送は通常、伝送ファイバーのガラスコア内部の非線形性に起因するスペクトル幅の広がりにより、数十メートルの距離に制限されてきた。反共振中空コアファイバーは、非線形性が数桁低いだけでなく、従来のビーム伝送用ファイバーに匹敵する損失とモード純度をもたらす。今回我々は、0.74 dB km−1損失のシングルモード中空コア入れ子型反共振ノードレスファイバーを用いて、1 kWの回折限界に近い連続波レーザー光を、トータルスループット効率約80%で、1 kmの距離にわたって伝送したことを実証する。シミュレーションによると、そうした空気で満たされたファイバーでは、伝送の出力や長さをさらに1桁以上向上させることができ、コアを真空にすればさらに大きく向上させることができる。このことは、将来の製造や地下掘削だけでなく、センシング、粒子加速、重力波検出などの新しい科学の可能性にも役立つ可能性がある、数キロメートルスケール・キロワットスケールの電力供給への道を開く。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度