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フォトニックチップにおける非アーベル的ブレイディング

Nature Photonics 16, 5 doi: 10.1038/s41566-022-00976-2

非アーベル的ブレイディングは、量子論理を実現させる候補であるエニオンの交換挙動の記述において極めて重要な役割を果たすため、大きな注目を集めている。非アーベル的ブレイディングの入力と結果は、古典系においても幾何学的位相行列として物理的に現れうるユニタリ行列によって結び付けられる。従って、非アーベル的ブレイディングはフォトニクスでも同様に実現されるはずであると予測されているが、まだ実現可能なプラットフォームや実験的実現には手が届いていない。今回我々は、最大で5つのフォトニックモードの非アーベル的ブレイディングを達成するオンチップ・フォトニックシステムを提案し、実験的に実現している。このブレイディングは、慎重に設計されたフォトニック導波路アレイにおいて、マルチモードの幾何学的位相行列を制御することによって実現されている。ブレイディングの典型的な効果である順序依存性の光子滞留サイトの交換が、古典光の実験と単一光子実験の両方において観測されている。今回のフォトニックチップは、非アーベル的物理を研究するための汎用的かつ拡張可能なプラットフォームであり、我々は、今回の結果が次世代非アーベル的フォトニックデバイスの開発の動機付けとなると予想する。

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