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損失調整による観測依存性2光子同時計数の抑制と増大

Nature Photonics 16, 3 doi: 10.1038/s41566-021-00943-3

区別できない粒子が互いに干渉できることは、量子力学の中核的原理である。干渉と粒子交換統計の相互影響によってHong–Ou–Mandel(HOM)効果が生じ、バランス型ビームスプリッターの出力ポート間の2粒子同時計数がボソンのバンチングによって抑制される。逆に、フェルミオンのアンチバンチングは、区別可能な粒子のベースラインと比較して、同時計数を2倍まで増大させ得る。従って、HOM効果におけるディップやピークの出現は、粒子のボソン性/フェルミオン性を示しているようである。今回我々は、観測基底の適切な選択によって、ボソン対の同時計数統計を完全抑制から完全増大までシームレスに調整できることを実験的に実証する。今回のフォトニック設定は、複屈折カプラーを利用して、光子の偏光に散逸差を導入している。これまでの研究とは対照的に、この通常とは異なる挙動の基礎となる機構は、特定の経路に沿った粒子の対によって蓄積された個々の位相に作用するものではないが、区別できない光子が直交モードに存在できないため、共同での損失回避を可能にする。今回の知見は、多粒子量子状態の操作のためや、量子シミュレーションにおける機能要素として、非エルミート設定を利用する新たな方法を明らかにしている。

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