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分子における電子の量子コヒーレンスの実空間サブフェムト秒撮像

Nature Photonics 16, 3 doi: 10.1038/s41566-021-00929-1

分子における電子運動の追跡は、化学変換を理解し制御するカギである。アト秒科学の現代的手法は、この運動の影響を実時間で生じさせて追跡することができるが、実空間ではできない。一方、走査型トンネル顕微鏡法は、分子の価電子密度を局所的にプローブできるが、単独ではこの超高速時間スケールで動的情報を得ることができない。今回我々は、走査型トンネル顕微鏡法とアト秒技術を組み合わせることで、6フェムト秒未満のキャリアエンベロープ位相安定な近赤外レーザーパルスが分子に誘起した電子の量子コヒーレンスを、オングストロームスケールの空間分解能とサブフェムト秒の時間分解能で直接可視化できることを示す。我々は、ペリレンテトラカルボン酸二無水物分子の原子価軌道が関与するコヒーレンスの実空間実時間撮像と、関与する軌道のポピュレーションの完全制御を実証する。この方法は、複雑分子系における電子ダイナミクスの明確な観測と操作への道を開くものである。

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