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発光量子収率が20%を超える多原子分子によって可能になった、NIR(II)窓の高効率有機発光ダイオード

Nature Photonics 16, 12 doi: 10.1038/s41566-022-01079-8

第二近赤外(NIR(II))窓スペクトル領域における多原子分子による発光は、エネルギーギャップ則によって、すなわち励起子–振動結合によって消光が誘起されるため大きく妨げられている。結果として、高効率発光波長が約1000 nm以上の有機発光ダイオード(OLED)は、光線療法や生体イメージングに用いられる可能性があるにもかかわらず、ほとんど存在しない。今回我々は、エネルギーギャップ則の理論を再検討し、非放射遷移への各結合振動モードの寄与を定量化した。その結果として、我々は、分子パッキングによる励起子非局在化の拡張と、重水素置換による高周波振動の低減という、発光に有利な2つの方法を提案する。我々は、約1000 nmにおいてピーク量子収率が(23 ± 0.3)%の高強度リン光を示す、一連の新しい自己集合Pt(II)錯体を設計し合成することによって、概念実証実験を行った。対応するOLEDは、ピーク波長995 nmにおいて最大外部量子効率4.31%と放射輝度1.55 W sr−1 m−2で発光し、NIR(II)領域における高効率OLEDの開発に大きく寄与する。

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