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セレンを組み込んだ高効率低ロールオフTADF OLED

Nature Photonics 16, 11 doi: 10.1038/s41566-022-01083-y

多重共鳴誘起熱活性化遅延蛍光材料に基づく有機発光体には、高効率かつ狭帯域の有機発光ダイオード(OLED)を実現させる大きな可能性がある。しかし、高輝度動作では、遅い逆項間交差(RISC)過程に起因する効率ロールオフによって、実用的な用途における多重共鳴誘起熱活性化遅延蛍光材料の使用が妨げられている。今回我々は、重原子を組み込んだ発光体BNSeSeを報告する。この発光体は、セレンを組み込んだホウ素窒素骨格に基づいており、100%のフォトルミネッセンス量子収率と2.0 × 106 s−1という高いRISC速度(kRISC)を示す。BNSeSeを用いた緑色OLEDは、最高で36.8%という優れた外部量子効率と、高輝度において極めて低いロールオフ特性(1000 cd m−2で2.8%、1万cd m−2で14.9%という非常に低いロールオフ値)を示す。さらに、三重項励起子のエネルギーを利用する極めて優れた能力を持つため、BNSeSeはハイパーフルオレッセンスOLED向けの優れた増感剤にもなる。そうしたOLEDは最先端の性能を示し、40.5%という高く優れた外部量子効率、200 lm W−1を超える電力効率、20万cd m−2に近い輝度を示す。

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