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原子層半導体における小型の位相整合・導波非線形光学素子に向けて

Nature Photonics 16, 10 doi: 10.1038/s41566-022-01053-4

非線形周波数変換によって、新しい色や量子状態の光の生成に不可欠な手段が得られる。遷移金属ジカルコゲニドには、大きな非線形感受率がある。さらに、3R型積層遷移金属ジカルコゲニド結晶には、反転対称性が破れた配列層があり、最小限の占有面積で非線形光学利得を増大させる理想的な候補になる。今回我々は、3R型MoS2の正常方向と異常方向の二次非線形過程について報告する。我々は、正常軸方向について、厚さに依存する第二高調波生成を測定することによって、3R型MoS2の第二高調波生成コヒーレンス長の初の測定結果を報告し、ファンデルワールス物質による過去最高の(単層より104以上強い)非線形光学増強を達成している。3R型MoS2スラブはニオブ酸リチウムと同等の変換効率を示すが、伝搬長が100分の1未満であることが見いだされた。さらに我々は、異常軸方向について、導波路形状の3R型MoS2から広く調整可能な第二高調波生成を実現し、そうした構造におけるコヒーレンス長を明らかにした。我々は、完全な屈折率スペクトルを評価し、近接場ナノ画像化によってその複屈折を定量化した。今回の結果から、集積フォトニクス向けの3R型積層遷移金属ジカルコゲニドの可能性が浮き彫りになるとともに、周期的分極構造、光パラメトリック発振器や増幅器、量子回路を含む、高効率オンチップ非線形光学デバイスの設計のための重要なパラメーターが得られた。

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