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フラクタルネットワークにおける量子輸送

Nature Photonics 15, 9 doi: 10.1038/s41566-021-00845-4

フラクタルは、その美的魅力だけでなく、非整数次元における物理的特性の研究が可能になるため興味深い。こうした通常とは異なる系では、フラクタル次元やフラクタル形状などの、多くの固有の特徴が関与する可能性がある。理論的研究が数多く行われてきたにもかかわらず、フラクタルネットワークの実験はまだあまり行われていない。今回我々は、フラクタルフォトニック格子において連続時間量子ウォークを行うことによって、フラクタルネットワークにおける量子輸送を実験的に調べた。我々は、光子の発展パターン、平均二乗変位、Pólya数を通して輸送特性を明らかにした。古典的なフラクタルとは異なり、フラクタル次元のみによって支配される異常な輸送が観測されている。さらに、正常輸送から異常輸送への遷移が起こる臨界点は、フラクタル形状に依存する。今回の実験によって、定量的な方法で物理法則の検証が可能になるとともに、輸送ダイナミクスが極めて詳細に明らかになるため、フラクタル性によって支配されるより複雑な量子現象の理解への道が開かれる。

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