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ヨウ化鉛メチルアンモニウムにおける高温超蛍光

Nature Photonics 15, 9 doi: 10.1038/s41566-021-00830-x

光物質相互作用によって固体における集団多体相の形成と操作が可能になる。これは、新たな量子応用の実現に有望である。しかし、ほとんどの場合、こうした集団量子状態は壊れやすく、デコヒーレンス時間や位相緩和時間が短いため、その存在は、極低温や高磁場などの難しい条件下における調整された精密構造に制限される。今回我々は、典型的なハイブリッドペロブスカイトであるMAPbI3薄膜が、78 K以上でそうした集団コヒーレント量子多体相、すなわち超蛍光を示すことを発見した。パルスレーザー励起によって、まず高エネルギー電子–正孔対の集団が生成され、より低いエネルギー領域へと急速に緩和し、その後、自発的同期を通して巨視的な量子コヒーレンスが生じる。そうした膜における分光学的特徴と集団動力学の励起フルエンス依存性から、よく知られた超蛍光の特性全てがはっきり確認されている。今回の結果は、ハイブリッドペロブスカイトにおける集団コヒーレント状態の形成と操作を量子応用の基本構成要素として利用できることを示している。

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