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原子層ヘテロ構造における超高速層間輸送のサブサイクル非接触ナノ顕微鏡観察

Nature Photonics 15, 8 doi: 10.1038/s41566-021-00813-y

トンネル現象は、量子力学の最も基本的な現れの1つである。最近、光波駆動走査型トンネル顕微鏡法が登場し、非常に短い適切な長さスケールと時間スケールで導電性試料における電子トンネル現象を直接解像することによって、超高速ナノ科学に革命をもたらした。今回我々は、テラヘルツ近接場顕微鏡法に基づく補完的な方法を導入し、絶縁体においてもトンネル過程の超高速ナノ動画撮影を行っている。その中心的アイデアは、エバネッセントテラヘルツ場を用いて電子–正孔対の局所分極率の変化をプローブすることであり、我々は、サブサイクル時間分解能でそうした変化を検出した。我々は、概念実証において、ファンデルワールスヘテロ2重層におけるフェムト秒層間輸送を解像し、深サブ波長のナノメートルスケールで層間励起子の局所的な形成と消滅という顕著な変化を明らかにする。トンネル誘起ダイナミクスのこうした非接触ナノ顕微鏡観察は、導電性試料や非導電性試料に広く適用でき、さまざまな凝縮物質系において超高速輸送過程が機能性を決定付ける機構を明らかにするはずである。

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