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Z蛍光金属–有機構造体ナノ結晶に基づく複合材料の高速シンチレーター

Nature Photonics 15, 5 doi: 10.1038/s41566-021-00769-z

シンチレーターは、電離放射線と相互作用すると光パルスを生成する材料で、放射線検出器に広く用いられている。先進的な医用撮像技術において、ミリメートルの長さスケールの高分解能撮像を実現するには、数十ピコ秒の時間分解能を可能にする高速シンチレーターが必要である。今回我々は、蛍光金属–有機構造体(MOF)ナノ結晶に基づく複合材料が、高速シンチレーターとして機能し得ることを実証している。我々は、ポリマー中にMOFナノ結晶を埋め込むことによって作製した試作シンチレーターを提示する。今回のMOFは、9,10-ジフェニルアントラセンリガンド発光体からナノメートル離れて規則的に配列したオキソヒドロキシジルコニウム・クラスター(電離放射線と相互作用する高Z結合ノード)からなる。構造体に組み込むことでリガンド蛍光の高速増感が可能になるため、主に補完的要素の均質混合に起因する問題が回避される。この概念実証試作デバイスは、約50 psという超高速シンチレーション立ち上がり時間を示すため、蛍光MOFナノ結晶の設計に基づく新しいシンチレーターの開発を支えるものとなる。

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