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熱的に安定な高効率発光ダイオード向けのペロブスカイトナノ結晶における温度消光の抑制

Nature Photonics 15, 5 doi: 10.1038/s41566-021-00766-2

発光の熱消光は、エレクトロルミネッセンス発光ダイオードとダウンコンバージョン発光ダイオードのいずれにおいても、鉛ハロゲン化物ペロブスカイトナノ結晶の現実世界の応用を妨げる重大なボトルネックである。今回我々は、温度に依存しない1に近い発光効率を示し、最高で373 Kの温度まで減衰カイネティクスが一定のCsPbBr3ペロブスカイトナノ結晶について報告する。これまでに例のないこの領域は、合成後フッ化物処理によって内側のナノ結晶コアよりもエネルギーギャップが広いフッ素に富む表面を形成することによって得られ、キャリアトラッピングの抑制、熱的安定性の向上、効率の良い電荷注入をもたらす。こうしたフッ化物処理されたペロブスカイトナノ結晶を組み込んだ発光ダイオードは、低いターンオン電圧とスペクトル的に純粋な緑色エレクトロルミネッセンスを示し、350 cd m−2において外部量子効率が19.3%と高い。重要なのは、343 Kにおいて室温外部量子効率のほぼ80%が維持されることである。これは、標準的なCsPbBr3ペロブスカイトナノ結晶発光ダイオードによく見られる劇的な低下と対照的である。今回の結果から、ペロブスカイトナノ結晶に基づく実用的な高性能発光ダイオードへの有望な道筋が得られる。

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