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ソフト凝縮物質における光の高感度ベクトル的光機械的フットプリント

Nature Photonics 15, 2 doi: 10.1038/s41566-020-00726-2

光子スピンが力学的に特定されてから、光の力学的効果を決定付ける特性の中で、偏光は特別な位置を占めている。現在では、直線偏光した弱集束(近軸)ビームが透明かつ一様な誘電体に対して力学的作用を及ぼしても、意外性はほとんどないと予想される。それでも、今回我々は、物質の異方性と実世界のビームに固有の縦場成分によって媒介されるベクトル的光機械的効果を明らかにしている。実験的には、この効果は、敏感かつ可逆的な影響を示す傾向にある弾性異方性媒質、すなわちネマチック液晶を用いることによって実証されており、今回の結果はベクトルビームに一般化されている。これは、非近軸性の強い場に限定され、損傷を引き起こす不可逆的手法に代わる代替的手法となる。また、報告した単一ビームからの複数の自己誘起レンズの生成によって、トポロジーを用いる全光情報ルーティング戦略も開拓される。さらに、今回の知見から、構造化された光非線形性を調節する新たな要因として、横方向の内部光エネルギー流(スピンおよび軌道)が指摘される。

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