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原子スケール電磁波形の定量的サンプリング

Nature Photonics 15, 2 doi: 10.1038/s41566-020-00720-8

目的に合わせて作られたナノ構造は、波長よりずっと小さい体積に電磁波形を閉じ込めることができ、サブ分子分解能に至る光波のセンシングや制御に新たな道を開く。原子レベルの光物質相互作用は、量子力学効果に強く影響され得る近接場の絶対強度と精密時間発展に決定的に依存する。しかし、原子スケールの場の過渡状態の測定は、まだ実現されていない。今回我々は、光波走査トンネル顕微鏡法に定量的な原子スケール波形サンプリングを導入して、ティップに閉じ込められた近接場過渡状態を解像している。今回のパラメーターフリー較正には、原子スケールの電圧標準として単分子スイッチを用いている。遠距離場から近接場への移行の顕著な特徴は古典的な電気力学に従うが、我々は、時間依存密度汎関数理論を用いて原子スケール波形の包括的理解を発展させている。シミュレーションによって、較正の妥当性が検証され、単一電子トンネリングが電磁場に対する測定過程の反作用を最小にすることが確認されている。今回の観測結果から、局所量子力学によってフェムト秒原子近接場が決まるナノオプトエレクトロニクスの未知領域が検討を可能になる。

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