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フォトニックチップを用いる構造化照明顕微鏡法

Nature Photonics 14, 7 doi: 10.1038/s41566-020-0620-2

構造化照明顕微鏡法(SIM)によって、細胞内構造の生細胞超解像撮像を高速で行うことが可能になる。現在の線形SIMでは、自由空間光学系を用いて所望の光パターンが試料に照射される。しかし、そうした光学系配置では、ミスアラインメントが生じやすく、顕微鏡のコストと複雑さが増す。今回我々は、顕微鏡における従来のスライドガラス試料を平面フォトニックチップに置き換えた、代替的なチップベースの二次元SIM法(cSIM)について報告する。重要なのは、フォトニックチップが試料を保持するとともに試料に光を照射することである。フォトニックチップを用いることで、SIMの照明光路の面積が約4 × 4 cm2まで減少した。チップ上の光導波路アレイによってさまざまな角度で定在波干渉パターンが形成され、このパターンがエバネッセント場を介して試料に照射される。高屈折率窒化シリコン導波路によって、撮像の空間分解能が2.3倍向上し、2倍というSIMの通常の限界を超えることができた。つまり、cSIMによって、単純かつ安定で低コストな広視野ニ次元超解像撮像法が得られる。

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