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高輝度の低エネルギー電子ビームによって駆動される小型で費用対効果の高い硬X線自由電子レーザー

Nature Photonics 14, 12 doi: 10.1038/s41566-020-00712-8

今回我々は、スイスのポール・シェラー研究所で最近稼働し始めた、硬X線自由電子レーザーSwissFELの初のレーザー発振の結果を報告する。SwissFELは、非常に安定かつ小型で費用対効果の高いX線自由電子レーザー施設であり、短周期アンジュレーターを通過する低エネルギーかつ超低エミッタンスの電子ビームによって駆動される。SwissFELは、パルスエネルギーが500 μJを超え、パルス持続時間が約30 fs(二乗平均平方根)で、スペクトル帯域幅がパーミルレベル未満の、波長1 Åの安定した硬X線自由電子レーザー放射を供給する。我々は、特別な構成を使って1 fsより短いパルスを作り、別の構成で約2%という前例のない帯域幅の広帯域放射を生成している。SwissFELで実証された極めて小さなエミッタンスは、さらに小型で安価な硬X線自由電子レーザーへの道を開き、世界中の施設数を、ひいてはX線自由電子レーザー放射を利用できる科学者の数を増やす可能性がある。

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