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高速スピン反転によって可能になる電荷移動状態からの高効率かつ安定な有機エレクトロルミネッセンス

Nature Photonics 14, 10 doi: 10.1038/s41566-020-0668-z

三重項励起状態から一重項励起状態へのスピン反転、すなわち逆項間交差(RISC)は、熱活性化遅延蛍光(TADF)を用いたデバイスによって示されているように、有機発光ダイオードにおける発光を改善する魅力的な方法である。しかし、デバイスの安定性と効率のロールオフが、遅いRISC速度(kRISC)に起因する難しい課題となっている。今回我々は、小さな一重項–三重項エネルギー分裂、大きなスピン軌道結合、エネルギー的に一重項に近い高密度三重項状態マニホールドを生じさせる電荷共鳴型ハイブリッド三重項状態を形成する複数のドナーユニットを持つTADF分子について報告する。今回のTADF分子のkRISCは、1.5 × 107 s−1と速く、この値は一般的なTADF発光体より約2桁高い。この分子に基づく有機発光ダイオードは、優れた安定性(推定T90は1000 cd m−2で約600時間)、高い最大外部量子効率(29.3%を超える)、低い効率ロールオフ(1,000 cd m−2で2.3%未満)を示す。

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