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ガリウムリン集積非線形フォトニクス

Nature Photonics 14, 1 doi: 10.1038/s41566-019-0537-9

ガリウムリン(GaP)は、固体照明に広く用いられている間接遷移半導体である。GaPは、大きなχ(2)係数とχ(3)係数、高い屈折率(> 3)、可視波長から遠赤外波長(0.55~11 μm)における透明性など、数多くの興味深い光学特性を示すにもかかわらず、集積フォトニクス材料としての応用はほとんど検討されていない。今回我々は、非線形フォトニクスのプラットフォームとしてGaPオンインシュレーターを導入し、ウエハー直接接合法を利用して、通信Cバンドにおいて損失が1.2 dB cm−1(Siオンインシュレーターと同等)の集積導波路を実現している。我々は、高Q値(> 105)の回折格子結合型リング共振器を作製し調べている。変調伝達法を用いることで、通信波長におけるGaPの非線形屈折率の直接実験推定値n2 = 1.1(3) × 10−17 m2 W−1が得られた。また我々は、分散設計した共振器においてカー周波数コムの生成も観測した。3 mWという低いパラメトリックしきい値パワーが実現され、次にサブTHz間隔の広帯域(> 100 nm)周波数コム、周波数2倍化コム、(別のデバイスで)高効率ラマンレーザー発振が実現された。これらの結果は、GaPオンインシュレーターが集積非線形フォトニクスの新規プラットフォームとなることを示唆している。

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