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高次元ランダムベクトルの直交性を用いて動的ホログラフィーのクロストーク限界を破る

Nature Photonics 13, 4 doi: 10.1038/s41566-019-0393-7

ホログラフィーは、本物そっくりの三次元(3D)投影を行う最も有望な手段であるが、完全に深度制御して複雑な像を組み込むことはまだできない。ホログラムの作製に実際の物体を必要としないデジタル合成ホログラムによって、3Dビデオを動的に投影できる可能性がある。しかし、3Dホログラフィー投影を目的として広範な取り組みが行われてきたにもかかわらず、利用可能な方法は、数枚の面への被写界深度の浅い像や分解能の低い像の作製に限られている。また、真に3Dのホログラフィーには完全な深度制御と動的な投影機能が必要であるが、これらは高いクロストークによって阻まれている。その根本的な難しさは、複雑な3D像を描くのに必要な全情報を、さまざまな深度の投影が互いに質を低下しあわないようにして、2D形態のホログラムに記憶させることにある。今回我々は、波面を事前に整形してフレネル回折を局所的にフーリエホログラフィーに変換することで、特定の深度で像投影を変えることなく各深度についてランダム位相の付加を可能にし、高次元ランダムベクトルが直交に近いためクロストークが除去されることによって、この問題を解決した。我々は、クロストークなしに完全深度制御して軸上に形成されるフレネルホログラムを実証すると同時に、1000枚の像面を有する高密度の大型動的3D投影像を生成し、同時生成面の数を2桁増やして最先端技術を改良した。今回の原理証明実験では空間光変調器を用いているが、今回の解決策は全てのタイプのホログラフィー媒体に適用できる。

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