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二次元ファンデルワールスヘテロ構造体における層間励起子の分極スイッチングと電気的制御

Nature Photonics 13, 2 doi: 10.1038/s41566-018-0325-y

遷移金属ダイカルコゲナイド系ファンデルワールスヘテロ構造体は、特異なスピン・バレー物性を示すとともに層間励起子の寿命が長いため、次世代フォトニクスデバイスやバレートロニクスデバイス向けに有望視されている。層間励起子の発光特性は研究されているが、情報の符号化に必要な条件であるバレー状態の効率的操作はまだほとんど行われていない。今回我々は、MoSe2/WSe2ヘテロ構造体における層間励起子の包括的な電気的制御を実証している。高度に位置調整した積層体を六方晶窒化ホウ素(h-BN)で挟むことによって、円偏光励起の下で逆のヘリシティーを示す2つの別個の狭い層間遷移が分解され、入射光の偏光が維持または反転される。我々は、その相対強度を電気的に制御することによって、発光強度と発光波長を調節できる偏光スイッチを実現した。また、外部磁場印加時にこれらの2つの遷移が大きなg因子を持つことが見いだされた。こうした結果は、禁制光学遷移のモアレ誘起高輝度化の概念の枠内で解釈される。層間励起子の分極制御能力は、現実的なデバイス応用におけるバレー自由度の操作への一歩となる。

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