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10 W cm−2以下の放射照度での単一アップコンバージョンナノ粒子撮像

Nature Photonics 12, 9 doi: 10.1038/s41566-018-0217-1

ランタニドをドープしたアップコンバージョンナノ粒子は、赤外励起でのその、光退色抵抗性の非点滅ルミネセンスを考えると、有望な単一分子プローブである。しかし、50 nm以下のアップコンバージョンナノ粒子のルミネセンスは弱く、単一粒子検出に必要な放射照度が10 kW cm−2を超えているため、生細胞の撮像には非現実的である。今回我々は、最低8 W cm−2まで入射パワーを106にわたって変化させて、さまざまな構成のアップコンバージョンナノ粒子の単一粒子ルミネセンスを系統的に明らかにしている。コア・シェル・シェル(CSS)型構造体(NaYF4@NaYb1−xF4:Erx@NaYF4)は、一般に使われているNaY0.78F4:Yb0.2Er0.02よりも著しく明るいことが示された。8% Er3+CSS型粒子は、増感剤Yb3+の含有量が高く、欠陥へのエネルギー移動を防ぐ不活性シェルが存在すれば、8 W cm−2で150倍の増強を示す。さらに我々は、不活性シェルによるパワー依存ルミネセンス増強を明らかにした。これによって、アンサンブル測定と従来の単一粒子測定で報告された増強度の不一致が説明される。こうしたより明るいプローブは、低い放射照度で細胞や単一分子を追跡する可能性を開く。

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