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グラフェンにおける質量ゼロのディラックフェルミオンのゲート制御可能な三次非線形光学応答

Nature Photonics 12, 7 doi: 10.1038/s41566-018-0175-7

質量ゼロのディラックフェルミオンを有するグラフェンは、非常に強い三次光学非線形性を示す可能性がある。しかし、第三高調波生成(THG)、四波混合(FWM)、自己位相変調について報告された非線形光学感受率の値は、6桁にわたってばらついている。そうしたばらつきは、グラフェンのドーピング条件が異なるとさまざまな過程の周波数依存性共鳴効果が生じることに起因している可能性がある。今回我々は、ゲート制御を用いてドーピングレベルを調節し共鳴条件を変化させることによって、グラフェンにおけるTHGとFWMを実験的に調べた結果を報告する。我々は、THGと和周波数FWMは高ドープグラフェンにおいて強く増強されるのに対し、差周波数FWMは全く逆のようであることを見いだしている。差周波数FWMは、ドープしていないグラフェンにおいて縮退FWMに向かってこれまでにない発散を示し、非線形性が著しく強くなった。こうした結果は、理論によって十分裏付けられている。グラフェンの多様な非線形性を十分理解することによって、今後のグラフェンベースの非線形オプトエレクトロニクスデバイスの設計への道が開かれる。

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