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アップコンバージョンナノ粒子の放射を増幅する分子アンテナ三重項の増強

Nature Photonics 12, 7 doi: 10.1038/s41566-018-0156-x

弱い光強度での効率の良い光子アップコンバージョンによって、太陽エネルギーハーベスティングから深部組織バイオフォトニクスにおよぶさまざまな技術が大きく進歩する見込みがある。今回我々は、近赤外色素アンテナによってランタニドをドープしたアップコンバージョンナノ粒子(UCNP)系の性能の大幅な向上が可能になる決定的な機構を見いだし、この知見を利用して、色素の無いUCNPに比べて輝度を3万3000倍、効率を100倍増強する色素–UCNPハイブリッドを設計している。我々は、UCNPのランタニド含有量を増やすと、一次エネルギー供与体が色素一重項から三重項にシフトし、次にその結果生じた三重項状態がナノ結晶へのエネルギー移動を媒介することを示す。時間ゲートリン光、密度汎関数理論、一重項寿命、三重項消光実験によって、こうした知見が裏付けられている。有機アンテナの励起状態占有率とUCNPの組成の間のこの相互作用から、これまでのアップコンバージョン材料の限界を克服する新しい設計ルールが得られ、太陽光発電、バイオフォトニクス、赤外線検出に現在必要な性能が可能になる。

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