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誘電率がゼロに近い材料に結合したナノアンテナの大きな光学非線形性

Nature Photonics 12, 2 doi: 10.1038/s41566-017-0089-9

非線形光学デバイスのサイズと動作エネルギーは、一般的な材料の非線形光学応答が弱いため根本的に制約されている。本論文では、誘電率がゼロに近い材料に結合した光双極子アンテナでできた厚さ50 nmの光メタ表面が、−3.73 ± 0.56 cm2 GW−1という広帯域(帯域幅約400 nm)かつ超高速(回復時間1 ps未満)の光強度依存屈折率n2を示すことを報告する。さらに、このメタ表面は、約200 nmのスペクトル範囲にわたって± 2.5という光学的に誘起された最大屈折率変化を示す。誘電率がゼロに近い薄膜にQ値の低いナノアンテナを包有させることによって、非線形光学応答がこれまでになく大きいメタ表面の設計が可能になるだけでなく、応答の符号を調整する柔軟性も得られる。今回の手法は、屈折率への超高速非線形の寄与が1のオーダーの材料が存在しないという、非線形光学に古くからある障害を取り除いた。従って、今回の結果から、フットプリントが数桁小さい低電力非線形ナノ光学デバイスを設計できる可能性が得られる。

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