Letter

反強磁性金属における大きな磁気光学カー効果と磁気八重極ドメインの画像化

Nature Photonics 12, 2 doi: 10.1038/s41566-017-0086-z

磁気光学カー効果は、電子特性と磁気特性の強力なプローブとしてや、磁気光学技術向けに、さまざまな強磁性材料とフェリ磁性材料で集中的に研究されている。さらに、磁気光学カー効果は反強磁性状態の研究にも有用であり得るが、これまでは絶縁体に限られていた。今回我々は、反強磁性金属において磁気光学カー効果を初めて観測したことを報告する。特に、非共線的反強磁性金属Mn3Snが、20 mdegという強磁性金属に匹敵する大きなゼロ場カー回転角を室温で示すことを見いだしている。我々は第一原理計算によって、完全に相殺し合っている反強磁性状態であっても、磁気八重極のフェロイック秩序から大きな磁気光学カー効果が生じることを明らかにしている。さらに、この大きな磁気光学カー効果によって、磁気八重極ドメインとその反転の画像化も可能になる。今回の反強磁性金属における大きな磁気光学カー効果の観測は、ドメインダイナミクスの研究や、反強磁性体を使ったスピントロニクスの研究に新たな道を開く。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度