Letter

光学空間における散逸的自己組織化

Nature Photonics 12, 12 doi: 10.1038/s41566-018-0278-1

魚群の複雑挙動は、集合して集合体を形成するソフトマター系で、細菌集団の複雑挙動は、集合してアクティブネマチックスを形成するソフトマター系で模倣できる。これらの人工構造体は、多体相互作用によってエネルギー散逸が調整される散逸的自己組織化プロセスを通して、熱力学的平衡から遠く離れた状態において現れる。そうしたアクティブマターの開発によって、生物系の理解が深まってきた。しかし、散逸的自己組織化の応用は、構成要素がそれぞれの運動を通して組織化するソフトマター系に限られていた。今回我々は、固体フォトニクスにおいて散逸的自己組織化を実証している。今回の構造体は、外部から駆動され熱光学的フィードバックを通してコヒーレントに相互作用するファブリー・ペロー共振器のランダムアレイからなる。系は、光学的駆動力が十分なときに、エネルギー散逸をアクティブに分配するロバストに組織化した非平衡状態へと相転移するが、一方で摂動に対する回復力と集団的記憶を示す。自己組織化フォトニクスによって、脳型コンピューテーション用のスケーラブルなアーキテクチャーや生命体のような(life-like)ネットワークを開発する可能性が開かれる。

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