Letter

熱運動によって生じる非相反的量子光学系

Nature Photonics 12, 12 doi: 10.1038/s41566-018-0269-2

アイソレーターやサーキュレーターなどの、磁性体を使わない非相反的な光学部品は、オンチップ光信号処理や量子ネットワークの用途に強く望まれている。しかし、これらの実現は、多くの光学デバイスにおけるローレンツ相反性のために根本的に困難である。今回我々は、リング共振器に埋め込まれた原子による光学的非相反性を提案し、室温で実験的に実現している。原子のランダムな熱運動によって、一方向制御場の存在下で感受率–運動量ロッキングが生じ、次に新種のカイラル量子光学系が生じる。さらに我々は、原子と共振器が集団的に強く結合した領域において、このカイラル量子系に基づく強い非相反性を実証している。今回の方法から、カイラル量子光学と、チップに適合する磁性体を使わない光学的非相反性を実現する新たな手順が得られる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度