Letter

トライコム分光

Nature Photonics 12, 11 doi: 10.1038/s41566-018-0267-4

多次元コヒーレント分光(MDCS)は、不均一に広がった系における均一線幅、多体相互作用、励起共鳴間の結合の測定を可能にする強力な方法であり、MDCS以外の方法では、これらの全てを同時に測定することはできない。今のところMDCSの実行には、大きな装置が必要で、分解能と取得速度に難点があるため、実験室外での応用が制約されている。今回我々は、繰り返し率がわずかに異なる3つの周波数コムを利用して、非線形コヒーレント分光を行う方法を提案し、実証している。このトライコム分光では、従来の非線形法とは異なり、単一の光検出器のみを使い、機械的可動部を使わないため、より短い取得時間が可能になる一方で、コム分解能も得られる。概念実証として、コムのクロス対角分解能を持つ多次元コヒーレントスペクトルが、365 msのデータのみを用いて得られている。こうした改善によって、MDCSが狭い共鳴を持つ系に適したものになり、化学センシング用途に実験室外で利用できるようになる可能性がある。

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