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熱化した光と結合した凝縮体のための可変ポテンシャル

Nature Photonics 11, 9 doi: 10.1038/nphoton.2017.139

格子ポテンシャル中の量子気体は、モット絶縁体転移などの固体物理現象をシミュレートする強力なプラットフォームとなっている。極低温原子と異なり、フォトニック結晶、結合した導波路、レーザーなどの光子ベースのプラットフォームは、熱平衡状態では機能しないことが多い。固体平衡効果のフォトニックシミュレーターに向けての進歩として、ポラリトン格子実験や光子凝縮体の実証がある。今回我々は、超高フィネスマイクロ共振器内での色素–ポリマー溶液の熱光学的インプリンティングを用いて、光の可変マイクロポテンシャルを形成する手法を実証している。我々は、単一井戸ポテンシャルと二重井戸ポテンシャルの特性を調べ、光の熱化とボース・アインシュタイン凝縮に十分な質の構造化を見いだしている。サイト間のトンネル結合が観測されたことに加え、効果的な光子–光子相互作用が調べられたことから、この系は、エンタングルしたフォトニック多体状態を直接ポピュレートする有望な候補となる。今回スケーラビリティーが実証されたことで、熱光学的インプリンティングがフォトニクスに新しい可変マイクロ構造化方法をもたらすことが示唆される。

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