Article

原子レベルの薄さの半導体におけるバレーアドレス可能なポラリトン

Nature Photonics 11, 8 doi: 10.1038/nphoton.2017.125

単層の遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)において電子スピンがバレー自由度に固定されることから、TMDがバレートロニクスにおける有望なプラットフォームとして浮上してきた。TMDを光マイクロ共振器に組み込むと、TMDにおける励起子遷移の振動子強度が大きいため、半分が光で半分が物質の準粒子であるポラリトンの形成が可能になる。今回我々は、MoSe2のポラリトンが、MoSe2の励起子やトリオンとは対照的に、バレー擬スピンを効率的に保持することを報告する。我々は、バレー擬スピン保持の程度が、ポラリトン状態における光子成分、励起子成分、トリオン成分に依存することを見いだしている。このことから我々は、ポラリトン領域では、共振器によって変化した励起子緩和がバレー擬スピンの損失を抑制すると結論付けることができた。今回提示したバレーアドレス可能な励起子ポラリトンとトリオンポラリトンは、ロバストなバレー分極状態をもたらし、フォトニック構造体に組み込まれたTMDやバレー依存性非線形ポラリトン–ポラリトン相互作用に基づくバレートロニクスデバイスを実現できる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度