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酸化カドミウム系完全吸収体を用いるフェムト秒光学的偏光スイッチング

Nature Photonics 11, 6 doi: 10.1038/nphoton.2017.64

光の偏光状態の超高速制御によって、光学、化学、生物学へのさまざまな応用が実現する可能性がある。しかし、偏光子や位相差板などの従来型の偏光素子は、静的であるか、スイッチング速度が遅くギガヘルツしかないかのいずれかである。今回我々は、ゲートウェイプラズモニック材料として高移動度インジウムドープ酸化カドミウム(CdO)を用いて、波長2.08 µmにおいて高Q値ベレマン型完全吸収体を実現している。サブバンドギャップ光ポンピングを行うと、CdOのアンサンブル平均有効電子質量が一時的に増大するため、完全吸収共鳴が強く赤方偏移する。これによって、1.0%から86.3%へのp偏光の絶対反射率変化が起こる。我々は、この極めて高い変調度と完全吸収体の偏光選択性を組み合わせることによって、800 fs以内にオンオフスイッチングできる偏光消光比91の反射偏光子を実験的に実証している。

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