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チップベースの広視野ナノ顕微鏡法

Nature Photonics 11, 5 doi: 10.1038/nphoton.2017.55

現行のナノ光学顕微鏡技術では、撮像には複雑な顕微鏡が用いられ、試料の保持には単純なスライドガラスが用いられている。今回我々は、その逆の技術を実証している。つまり、複雑だが大量生産できる光チップと標準的で安価な顕微鏡を使用して、2つの方法で超高分解能画像を得ている。この光チップは、試料を保持するとともに、照明光源用の導波路を備えている。屈折率コントラストの高い材料でできた導波路が、強いエバネッセント場を生成する。このエバネッセント場が単一分子スイッチングや蛍光励起に用いられ、チップベースの単一分子局在顕微鏡法が可能になる。加えて、マルチモード干渉パターンによって空間的な蛍光強度変動が誘起され、ゆらぎに基づく超解像撮像が可能になる。チップベースのナノ顕微鏡法は、照明光路と検出光路が分かれているため、広視野にわたって全反射蛍光励起が可能になり、最高で0.5 mm × 0.5 mmが実証されている。我々は、チップベースのマルチカラーナノ顕微鏡法を用いて、肝類洞内皮細胞の小孔を可視化している。

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