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土壌中に豊富に存在するシリコンの間接遷移型量子ドットに基づく効率の高い発光型太陽光集光器

Nature Photonics 11, 3 doi: 10.1038/nphoton.2017.5

建築物に組み込まれた太陽光発電は、電力をその利用場所で作るのに適した再生可能エネルギー技術と見なされつつある。発光型太陽光集光器(luminescent solar concentrator、LSC)は、電極のない太陽光発電窓を実現することによって、建築物への太陽光発電の組み込みを都市環境へ広げる可能性がある。大面積LSCに不可欠なのは再吸収損失の抑制であり、これには、吸収スペクトルと放出スペクトルの重なりが無視できるほど小さい発光体が必要である。今回我々は、発光性の高いシリコン量子ドットなどの間接遷移型半導体ナノ構造体の利用を実証している。シリコンは、毒性が無く安価であり、土壌中に非常に豊富に存在し、存在量の少ない元素でできた量子ドットを産業規模へ拡大する際の制約を避けることができる。再吸収損失と散乱損失の抑制によって、光学効率η = 2.85%の理想に近いLSCが実現される。この効率は、最先端の半透明LSCに匹敵する。モンテカルロシミュレーションによって、最適化されたケイ素量子ドットLSCには、1 m2のデバイスでη > 5%の実現を妨げるものがないことが示されている。我々は最終的に、性能が平面状の集光器に匹敵する、柔軟なLSCを実現することができた。これは、建築物に組み込む太陽光発電素子の新たな設計自由度への道を開くものである。

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