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スペクトル幅が非常に狭い受動モード同期レーザー

Nature Photonics 11, 3 doi: 10.1038/nphoton.2016.271

過去に導入されたモード同期技術の大半は、主として、スペクトル帯域幅を広げてサブピコ秒長の超短コヒーレント光パルスを実現することに重点を置いていた。これに対して、分光、高効率分子励起、センシング、量子光学などの応用向けの狭いスペクトル帯域幅を特徴とするフーリエ変換限界ナノ秒パルスを生成するモード同期レーザーは、それほど重要視されなかったように思われる。今回我々は、同時ネスト化共振器フィルタリングと集積マイクロリング共振器内における共振器増強非線形相互作用を利用する受動モード同期レーザーシステムを実証している。これによって、ナノ秒領域(持続時間4.3 ns)における光パルスの生成が可能になり、総スペクトル帯域幅は、これまで実現されたものと比較して2桁以上狭い104.9 MHzになっている。今回のレーザーは帯域幅が非常に狭いので、広く利用可能なGHz帯域幅オプトエレクトロニクスコンポーネントを用いて無線周波数領域のスペクトル特性を十分評価できる。次に、この特性評価によって、生成したパルス列の強いコヒーレンスが明らかになっている。

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