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カー共振器におけるソリトン結晶

Nature Photonics 11, 10 doi: 10.1038/s41566-017-0009-z

光共振器に閉じ込められた自己組織化したソリトンは、光を用いた通信、計算、センシングの実験に独特な可能性をもたらすと考えられる。今回我々は、モノリシックなカー微小共振器においてソリトン結晶を観測したことを報告する。ソリトン結晶は、自発的かつ集団的に秩序化した共伝搬ソリトン集団であり、その相互作用によって許容時間間隔が離散化する。我々は、ソリトン間のスペクトル干渉に起因する「指紋」光学スペクトルの解析を通して、ソリトン結晶の明確な特定と特性評価を行った。また、結晶欠陥を示すさまざまなソリトン結晶空間を特定するとともに、時間領域測定を行って結晶構造の推定結果を直接裏付けた。ソリトンの結晶化は、共振器モード縮退を介する長距離ソリトン相互作用によって説明される。我々は、こうした相互作用がないときに形成されうる無秩序なソリトン液体とソリトン結晶の定性的な違いを調べている。今回の研究は、高密度ソリトン占有領域におけるモノリシックなカー共振器の物理を探り、カーコムの効率を高める方法をもたらすものである。さらに、ソリトン結晶の配置空間の極端な縮退は、オンチップ光バッファーの実現を示唆している。

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