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イッテルビウムドープ・リング共振器における多次元パーセル効果

Nature Photonics 10, 6 doi: 10.1038/nphoton.2016.72

固体中の希土類イオンは、4f状態のコヒーレンス時間が長いため、量子情報記憶や量子情報処理用として特に興味深い。ここ数年で、イオン集団や単一イオンを用いることによって、大きな進歩が見られた。しかし、4fマニフォールド内の光学遷移が弱いので、単一光子レベルでの単一希土類イオンとの光学的相互作用が大きな課題となっている。今回我々は、イッテルビウムイオン(Yb3+)を埋め込んだ、集積光学ベースのファイバー結合窒化シリコン(Si3N4)リング共振器において、9倍増強されたイオン–光相互作用(パーセル効果)を実証している。我々は、パーセル因子に対する一次元的、二次元的、三次元的な寄与と、温度に依存するイオンのデコヒーレンスと脱分極を明らかにしている。今回の結果は、この共振器量子電気力学(QED)システムが、チップ上で単一希土類イオンと単一光子を相互作用させる機能を持ちうる可能性を示している。

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