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複数のオフ状態を利用した座標標的(coordinate-targeted)蛍光ナノ顕微鏡法

Nature Photonics 10, 2 doi: 10.1038/nphoton.2015.266

遠方場超解像蛍光顕微鏡法では、回折限界より近接している蛍光団を検出前に一時的に異なる状態(一般的にはオンとオフ)に移行させることによって識別する。誘導放出制御(STED)顕微鏡法などの座標標的(coordinate-targeted)超解像顕微鏡法では、この状態差は、最低強度と最高強度の光パターンによって作り出され、全ての蛍光団が例えば最低強度以外はオフ状態とみなされることになる。オン状態の強い空間閉じ込めによって高分解能が得られるが、最高強度で蛍光団が過剰強度と状態サイクルにさらされる。今回我々は、蛍光団を過剰光に対して不活性な第二のオフ状態に導くことによって、こうした問題に対処している。今回の手法は、可逆的にスイッチング可能な蛍光タンパク質を標識として用いることによって、生細胞STED顕微鏡法におけるブリーチングを抑制し、分解能とコントラストを向上させている。オフ状態への遷移を2種類以上用いる手法は、座標標的超解像顕微鏡の能力を高めるのに有用である。

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