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可視光を用いた赤外分光法

Nature Photonics 10, 2 doi: 10.1038/nphoton.2015.252

赤外光領域のスペクトル測定によって、材料分析、環境センシング、健康診断に役立つ物質固有の特徴が得られる。現行の赤外分光法では、赤外領域での動作に適した光学装置を用いる必要があるが、そうした光学装置の部品は性能が低く価格が高いという課題を抱えている。今回我々は、可視スペクトル領域用の部品を用いて、赤外領域のスペクトル測定を可能にする手法を開発している。この手法は、自発的パラメトリック下方変換によって生成した、赤外光子と可視光子の非線形干渉を利用している。可視光子の強度干渉パターンは、媒質中を伝搬する赤外光子の位相に依存する。従って、可視光子の測定結果から、赤外領域における媒質の吸収係数と屈折率を決定できる。この手法は、十分進歩した可視領域用の部品を用いるため、従来の赤外分光法や屈折率測定法を置換・補完するものになりうる。

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