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複屈折結晶レンズ干渉計を用いた高倍率超解像FINCH顕微鏡法

Nature Photonics 10, 12 doi: 10.1038/nphoton.2016.207

フレネルインコヒーレント自己相関ホログラフィー(FINCH)顕微鏡法は、高分解能生体イメージングに有望な手法であるが、これまで、その利用は低倍率・低開口数の構成に限られていた。今回我々は、一軸性複屈折を示すα–ホウ酸バリウム(α–BBO)結晶またはカルサイト結晶を用いてインライン型インコヒーレント干渉計を作製し、これを利用して、過去に空間光変調器や勾配屈折率レンズを用いた場合に見られた収差やひずみを克服したことを報告する。この複屈折素子と高開口数油浸対物レンズを組み込んだFINCH顕微鏡の性能は、例えば、波長590 nmで点拡がり関数が149 nmとなるなど、標準的な広視野蛍光顕微鏡を上回る可能性がある。我々は、サブ分解能の蛍光ビーズを用いて分解能の向上を確認した。また、生体試料の例としてゴルジ体を選び、HeLa細胞中でGFPと他の2種類の蛍光色素で標識した3種類のタンパク質を解像し、構造化照明顕微鏡法で捉えた同等試料に匹敵する画質を得た。

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