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TbMnO3における反強磁性の可逆的光スイッチング

Nature Photonics 10, 10 doi: 10.1038/nphoton.2016.146

レーザーを用いて熱励起や電子励起を光学的に駆動することによって、強磁性体の磁化を制御できる。反強磁性への技術的関心が高まっているため、こうした発想を反強磁性体に適用できるようにすることは魅力的である。しかし、反強磁性体の磁化はゼロであるため、反強磁性体のスピン構造の制御は困難である。今回我々は、それでも反強磁性磁区の光学的制御が可能であることを、原理証明実験で実証している。我々は、2種類の色の光パルスを用いて、マルチフェロイック物質TbMnO3における反強磁性秩序パラメーターを繰り返し反転させた。スイッチングは、光の波長、光吸収、TbMnO3の反強磁性秩序によって生じる電気分極場の間の特異な関係に依存している。次に我々は、レーザー制御による反強磁性磁区の連続的な書き込みと消去を実証した。また、モンテカルロシミュレーションによって、反強磁性の可逆的光スイッチングの普遍性が導かれた。従って光磁性は、重要な自由度、すなわち光による反強磁性の局所制御によって補完される。

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