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コロイドナノ粒子によって増感される、固体材料を用いた赤外光から可視光へのアップコンバージョン

Nature Photonics 10, 1 doi: 10.1038/nphoton.2015.226

増感された三重項–三重項励起子の消滅による光アップコンバージョンによって、低めの励起強度でインコヒーレントな低エネルギー光子がより短い波長に変換される。今回我々は、増感剤として硫化鉛コロイドナノ粒子を用いた、赤外光を可視光にアップコンバージョンする固体薄膜について報告する。λ = 1 μmを超えるポンプ波長から発光波長λ = 612 nmへのアップコンバージョンが実現された。また、λ = 808 nmで励起すると、収率1.2±0.2%で増感剤中の2つの励起子が発光体中の1つの高エネルギー状態に変換された。1 sun未満に相当する吸収強度で、ピーク効率が達成された。コロイドナノ結晶は交換分裂が小さく、広い範囲で波長を調節でき、広帯域の赤外光を吸収し、高効率エネルギー移動が過渡的に観測されたことを考慮すると、コロイドナノ結晶が既存の分子増感剤に代わる魅力的な代替物質であることを、我々は示している。このアップコンバージョン用固体構造は、太陽電池や光検出器の性能向上に役立つことが立証される可能性がある。

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