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赤外からX線までのグラフェンプラズモンベースの自由電子光源に向けて

Nature Photonics 10, 1 doi: 10.1038/nphoton.2015.223

ナノファブリケーション法の急速な進歩によって、超小型フォトニック集積システムやナノスケール光源の探究が促進されている。医学、工学、自然科学における研究・診断用ツールとして極端紫外線やX線が重要であることから、質の高い小型短波長放射源の可能性は特に興味深い。今回我々は、グラフェンプラズモンと相互作用する電子を利用する波長可変高指向性単色放射源を提案する。我々の相補的な解析理論とab initioシミュレーションの結果から、強く閉じ込められたグラフェンプラズモンの高い運動量によって、比較的低エネルギーの電子から高周波放射を発生させることが可能になり、長い電子加速器や極端なレーザー強度が不要になることが示されている。例えば、従来の高周波電子銃の電子を用いた卓上型設計で、指向性の高い20 keV光子を生成できる可能性がある。グラフェンは、伝導性があり損傷閾値が高いため、とりわけこの用途に適している。我々の電子–プラズモン散乱理論は、自由電子が表面波と相互作用する他の系にも容易に拡張できる。

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